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法人の決算月の決め方
会社を設立する際に定める「決算月」ですが、どのように決めたらよいか分からないという声をよく耳にします。
なんとなくみんながそうしているからと3月や12月を選ばれる方もいらっしゃいますが、決算月を決めるには事業内容や経営状況、資金繰りの状況を考慮したほうがよい場合があります。
そこでこの記事では、決算月を決める際のポイントや、6月決算とする場合のメリット・デメリットなどをご紹介いたします。
決算期をどのように決めるかお悩みの方は、参考にしていただけると幸いです。
「決算月はいつにしたら良いですか?」という質問をされる方は多くいらっしゃいます。
決算月を決めることでその会社の事業年度が決まりますが、この決算月は1年以内の期間であれば会社の都合で自由に決めることができます。
この自由にというのが少し曲者で、選ぶ月によっては経営に大きな影響を与える場合があるため、まずはどのように決めるべきかのポイントをご紹介いたします。
決算月をなんとなく決める方もいらっしゃいますが、決してそれが悪いわけではありません。決算月は自由に決めてよいのです。
しかし、以下のようなポイントを考慮することで「明らかな損」を回避できることもあります。
何月に設定してもメリット・デメリットがあるので、難しいところではありますが、ぜひ参考にしてみてください。
それぞれ詳しくご説明いたします。
決算月は、会社設立月は避けましょう。
特に深く考えない場合にありがちですが、事業年度が超短期間になりもったいない場合があります。
例えば、4月11日に会社を設立して4月を決算月に設定した場合、第一期の事業年度は4月11日~4月30日のたった20日になってしまいます。
後述で詳しく説明しますが、資本金1,000万円未満で会社設立した場合には、2事業年度までは消費税の納税義務が免除される場合があります。
しかし、設立月を決算月にして初年度が超短期間になることにより、消費税の納税義務の免除期間が短くなる場合があります。
つまり、消費税の納税時期が早まってしまうデメリットがあります。
決算月を「設立月の前月」にすることで納税時期を遅らせることができるため、最も有利な選択と言えます。
多くの会社で採用されているのが、現金残の多い時期に決算月を設定する方法です。
その理由は、法人決算申告時に支払う税金の納付に備えるためです。
売上が多く上がる月が把握できている場合には、現金が回収できる1、2か月後を設定すれば税金の納付のためにわざわざ資金調達をする心配がありません。
また、現金残の多い時期に決算月を設定すると節税対策が取りやすいというメリットもあります。
節税対策を行う場合、多くは支払ありきになります。
翌期に必要なものを先に購入しておくなどの方法は手元にお金がないと難しいため、必要以上の税を納める可能性が高くなってしまいます。
そのため、売上から逆算し、お金の流れを考慮して決算月を設定しましょう。
会社設立の際、消費税には免税期間(消費税を納める義務がない期間)があります。
会社設立時の資本金が1,000万円未満で設立から2事業年度までは免税事業者となるため、決算月の設定によって最大2年間はこの恩恵を受けることができます。
しかしこの期間は決算月の設定により、短くなってしまう可能性があります。
例えば9月に会社設立(法人成とも言います)をして3月に決算月を設定した場合、1年目の免税期間は7か月しかなくなってしまいます。
この場合「設立月の前月」である8月に決算月を設定すれば、免税期間は最大の12か月分となります。
第2期目は前年の上半期の売上が1,000万円を超えないことが免税事業者の条件となるほか、細かい条件があります。
大事なのはタイミングです!
少しの誤差で税金の額が大きく変わってくることもあるため、無駄に支払うことのないように注意しましょう。
決算処理業務は、決して楽なものではありません。
誇張表現ではなく、大変です。
事業をはじめたばかりの方は、はじめての決算処理に困惑してしまうかもしれません。
さらには、本業に支障がでる可能性もあります。
そのため業務の繁忙期があらかじめ分かっている場合には、決算期はその時期を避けて設定しましょう。
例えば、在庫の多い小売業やメーカーは実地棚卸時期を避ける、観光産業は年末年始や夏休み期間を避ける、などですね。
おまけとして、税理士の繁忙期を避けるというのもひとつの手です。
多くの企業の決算月は3月に集中しやすい傾向があり、その時期はどうしても税理士との打ち合わせ予約が取りづらくなります。
経営は時間も大事ですので、適切な時期に適切なアドバイスを受けられないのはとてももったいないです。
(L&Bヨシダ税理士法人では、そのようなことがないように人員を多めに配置しています)
税理士事務所の繁忙期は、個人の確定申告を行う2月~3月、3月決算の会社の法人税の申告を行う5月、年末調整を行う12月~1月と言われています。
他にも、その税理士の専門分野により忙しい時期が異なるため、これから税理士に相談して決算月を決めるという方は、遠慮せずに直接税理士に相談してみましょう。
決算月を決める際に考慮すべきポイントを押さえた上で、6月を決算月にする場合のメリットとデメリットをご紹介いたします。
社会保険の算定基礎というのは、4、5、6月に支払われた報酬をもとに社会保険料額(標準報酬月額)の改定が行われます。
この計算の際に、役員の報酬は毎月一定額となっているはずなので、算定基礎の金額計算が多少楽になるといったメリットがあります。
また、6月決算の場合には税理士の繁忙期と重ならないため、相談予約が取りやすいというメリットもあります。
こちらは子供がいるご家庭では大きなデメリットとなるのではないかと思います。
6月決算の場合、8月末までに決算を確定して税務署に法人税の申告をしなければなりませんが、お盆を含め休みたい人が多い時期でもあります。
また小売業やアパレル業、旅行業などは繁忙期でもあります。
もしどうしてもという理由がなければ、決算月は6月以外を設定するのが無難かもしれません。
「決算」と聞くとその前後は節税対策などで忙しくなるのではと想像できると思いますが、実は「決算業務」が忙しいのは決算月の翌月なのです。
決算月に利用した経費の金額が確定するのは概ね翌月以降であり、その請求書が送られてきて支払いをするのはその後になるためです。
そのため、決算月から1,2か月の間は繁忙期を避けるようにしましょう。
決算月は、一度決めたら変えられないわけではありません。
また、変更はいつでも可能です。
会社設立時に決めた通りに経営が進まない場合や、実際に経営してみたら決算月の負担が重い場合には、決算月の変更も視野に入れましょう。
決算月の変更は、以下を行えばOKです。
それぞれ詳しくご説明いたします。
事業年度の変更をするには、株主総会の特別決議にて定款の変更をしなければなりません。
特別決議は、議決権の過半数を持つ株主の出席と、3分の2以上の賛成で可決されます。
この際、登記手続きは不要です。
株主総会にて定款の変更を行ったら、決議した株主総会の「議事録」と、事業年度を変更する旨を記載した「異動届出書」を管轄の税務署へ提出します。
この記事では、決算月を決める際に気をつけるべきポイントと、決算月を6月にした場合のメリット・デメリットをご紹介しました。
決算月は資金繰りや消費税、その他の面を十分に考慮することで、その後の経営が楽になると言えるでしょう。
会社設立時、決算月を自身で決めるのが難しいという場合には、税金やお金のプロである税理士に相談してみてください。
L&Bヨシダ税理士法人では、会社設立時のご相談は何度でも無料で承っております。
決算月のご相談はもちろん、資金調達や届出の丸投げもOKです。
また、「会社設立してお金が増えるのか?減るのか?」が一目で分かる損得シミュレーションも無料でご用意しております。
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